対応疾患
脊柱側彎症
■脊柱そくわん症って?,,,その1
おそらくこのページをご覧になっている多くの方は、検診などで”そくわん”と指摘されたお子さんの保護者の方が多いと思います。そくわん症にかんしては、いまだに間違った知識が横行しており学校現場でも問題になることがあります。簡単ではありますが医学的見地からこの病気について説明いたします。

脊柱側弯症(せきちゅうそくわんしょう)とは背骨の骨(椎骨)がねじれて曲がる病気です。姿勢がわるいというのとは根本的に違うものです。中でも多いのは思春期のお子さんがかかる思春期特発性側弯症というもので原因はわかっていません。女の子に断然多く、大きく曲がると手術が必要になることから早期発見・早期治療が大切であるということで学校保健法でもチェックすべき項目に30年以上まえから加えられています。

そくわん症は、曲がりの大きさによって対応が違います。側弯の曲がりの大きさは背骨全体のレントゲンを撮影して、コブ法という方法で角度を測ります。この角度で曲がりの大きさを表します。この角度が20度未満なら経過観察、20度以上で悪化が予想されるものには治療が必要となります。通常悪化するのは思春期前後の成長期です。大きく曲がっていなければ、高校生ぐらいの大人になれば進行しないと考えられますし35度ぐらいまでなら曲がっていてもほとんど問題ありません。

治療はまずは予防すること。予防するにはストレッチなどの体操?と装具療法(コルセット)があります。体操とは”そくわん体操”といわれているもので、曲がりを直す方向にストレッチするのですが、どのくらい体操すれば効果があるとかはよくわかっていません。(根本的に曲がりを直す効果はないと私自身は考えていますが・・・)しかし成長期は骨が激しく成長する時期ですのでストレッチそのものはとてもよいことと思います。しかし、巷で見かける一部の”背骨の曲がりを手で直します”というような誇大広告にはまったく賛成できません。そういう意味では、まずは整形外科専門医に受診するのが予防の第一歩と考えてください。

医学的に効果がある治療は装具(コルセット)です。 装具は25度以上で今後、進行する可能性が高いお子さんに着けていただきます。当クリニックの装具は、わきの下から腰までの長さのプラスチック製のものです。半日着用していただきます(つまり学校には着けていかなくてよい!?)。装具の効果については、これまで多くの医学雑誌で報告がなされています。おおむね60から70%ぐらいの方で進行を止めることができ、5~10%の方がよくなる、というものです。わかっていただきたい点は、コルセットはあくまで悪くならないために着けるのです。と説明すると「なーんだ。まっすぐにならないなら着けても仕方ないよな」と考えてしまう患者さんもいるのですが、曲がりが30度ぐらいでとまれば医学的には問題ないのです。間違っても怪しい?ところに行かないでください!!!

不幸にして大きな曲がりになってしまった時は、手術を行わなければならない場合があります。成人すれば進行は止まるといいましたが50度以上の場合はそればかりではなく進行する方がおられます。ほうっておくと30歳で80度に進行した!なんてこともまれにあります。そくわん症の矯正手術は40年以上前から行われています。さいきんでは入院期間は短くて約3週間は必要でしょう。(自己血)輸血もしなければならないことが多いです。できるなら回避したいものです。

とはいふもののなかなか不安はぬぐいきれないと思います。また多感な思春期のお子さんの病気ですのでオーダーメイドの治療方針が必要と思っています。まずは受診の上御相談ください。
(2007年10月20日)




医 院 概 要
 
整形外科・リウマチ科・リハビリテーション科
〒661-0026 兵庫県尼崎市水堂町1-3-1
TEL 06-6438-1205
院長 医学博士 木村 琢也
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